Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate

Aozora Bunko

」

「その三カ条はどんなものだ」

「あたし聞いたんだけれど、とても覚えてなんかいられやしませんよ」

六郎兵衛は舌打ちをした、「伊東のことはそれだけか」

「ええ、いま病気だから、五月か六月に江戸へ出て来て、御家老になるということですわ」

「それから」

「それからって」

「変な話しというやつだ」と六郎兵衛は盃を取り、妹に酌をさせながら云った、「いま自分の口で云ったことくらい覚えていろ、きさまは頭が悪いうえに、男のことがあると白痴みたようになる」

「あらいやだ」おみやは赤くなった、「あたし男のことなんて考えてやしませんわ」

「新八は逃げやしない、おちついて話しをしろ」と六郎兵衛は酒を呷った。

「よくわからないんだけれど」

おみやは右手の指で、右のこめかみを押し、ぐりぐりとそこを揉み、それから、「鬼役って毒見のことでしょ」と訊いた。

六郎兵衛はきっと眼をほそめ、それがどうかしたか、と訊いた。

「ええ、その鬼役のことで、お二人がながいこと話していました」

「どんな話しだ」

「それがよく聞えなかったんです」

「人払いか」

「ええお人払いでした」とおみやは頷いた、「でもあたしはお次で銚子番をしていましたし、お二人の話しかたもそれほど低くはなかったので、ところどころは聞えて来たんです」