Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
編笠をぬいだ浪人者は「いっしょに来てくれ」と云って、顎をしゃくった。
「そこに駕籠を持って来てある、じたばたしないほうがいいぞ」
「あなたはどなたですか」
「訊いてみろ」と浪人者は云った、「そこにいる宮本は知っている筈だ」
おみやは振返った。新八はごくっと唾をのみ、頷きながら「石川さんです」とかすれた声で云った。
「石川兵庫介さんです」
「石川さんて」おみやは彼を知らなかった。
だが新八の怯えたような眼と、その男のふところへ入れたままの右腕とで、いつか聞いた話を思いだし、ぞっと背筋が寒くなった。
「そうだ、おれだ」と石川は云った、「柿崎にこの右腕を取られた石川兵庫介だ」
「あたし、それはあたしの知らないことです」
「もちろんさ」と石川は唇で笑った、「あんたの知ったことでもなし、あんたの罪でもない、おれはただ柿崎をおびき出せばいいんだ、柿崎をおびきだすために、あんたをしばらく借りるんだよ」
「新さん」おみやは新八を見た。
石川は編笠を持った左手で、ぐっとおみやの手首をつかみ、新八に向かって、「やあ」と呼びかけた。
「久しぶりで会うのに気の毒だが、へたな手出しはよせよ、おれは柿崎に仕返しをするつもりで、やわらという新らしい武術をならった、この左手の一撃で骨を断つことができる、片輪だと思ったらまちがいだぞ」