Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate

Aozora Bunko

おれはめくらでばかだった、と新八は思った。藤沢たちの話しを聞いたとき、すぐ気がつかなければならない筈だった。

「そうだ、おれはばかだ」彼は立停った。

「逃げだそう、このまま逃げてしまおう」

彼はそう呟きながら、ぼんやりと向うを眺めた。

そこは両国橋の上であった。少し川下によったところで、架橋工事をしていた。それは、両国橋を新らしく架け変えているのであるが、水に浸り泥まみれになって、杭打をしている人足たちの姿を、新八はぼんやりと眺めていた。ある者は腰まで、ある者は胸まで水に浸り、頭から泥まみれになって、杭を打っている人足たち。正月二十日の水の冷たさが、見ている新八にも伝わって来るように思えた。

彼は顔を歪め身ぶるいをした。あれがやれるか。自分にあの仕事ができるだろうか、と新八は考えた。そのとき、彼の背にそっと手が当り、「新さん」と囁く声がした。

新八はゆっくり振返った。おみやが立っていて、にっと彼に頬笑みかけた。新八はまた顔を歪めた。

「ひどい人、どうしたの」

おみやは睨みながら風呂敷に包んで抱えていた刀を、彼の手に渡した。新八は虚脱したような身ぶりで、それを左に抱えながら歩きだした。