Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
甲斐はふじこに云った。
「ふじこはなぜ小坂などへ来ているんだ」
「久兵衛が暴れてしようがねえです」
「おれをつけまわしているんではないのか」
「ときどき小屋へ来るです」とふじこが云った。
「殿さまを覘っても館の衆の眼がきびしいだで、思うように動きがとれねえ、それで小屋へ来ては暴れるです」
「なぜ館へ云って来ないのだ」
「おらあなんでもねえです、あんなかぼねやみの一人や二人、なんとも思やしねえし、父さまも館へ申上げるほどのことはねえ、ちっとのま小屋をあけて、久兵衛の気をぬけばいいって、それで小坂へ来ているです」
「おまえ嫁にゆくのだろう」
「おらがですか」
「久兵衛の嫁になる筈ではないのか」
ふじこは赤くなり「んでがす」と云った。
「それなら早く祝言をしたらどうだ、そうすれば久兵衛も暴れるようなことはなくなるだろう」
「それがそうでねえのです」
ふじこはそう云って、もっと赤くなり、首の折れるほど俯向いてしまった。きよきとなをこはくっくっと喉で笑い、温まった燗鍋と盃を、甲斐の前に置いた。
甲斐は盃を取りながらふじこを見た。
「なぜそういかないんだ」と甲斐が訊いた。
ふじこは答えなかった。