Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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そり

橇

黒島 伝治

Leggi 橇 (そり) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.663 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

親爺のペーターは、御用商人の話に容易に応じようとはしなかった。

御用商人は頬から顎にかけて、一面に髯を持っていた。そして、自分では高く止っているような四角ばった声を出した。彼は婦人に向っても、それから、そう使ってはならない時にでも、常に「お前」とロシア人を呼びすてにした。彼は、耳ばかりで、曲りなりにロシア語を覚えたのであった。

「戦争だよ、多分。」

父親と商人との話を聞いていたイワンが、弟の方に向いて云った。

「いいや!」商人の眼は捷くかがやいた。「糧秣や被服を運ぶんだ。」

「糧秣や被服を運ぶのに、なぜそんなに沢山橇がいるんかね。」

イワンが云った。

「それゃいるとも。――兵たいはみんな一人一人服も着るし、飯も食うしさ……。」

商人は、ペーターが持っている二台の橇を聯隊の用に使おうとしているのであった。金はいくらでも出す、そう彼は持ちかけた。

ペーターは、日本軍に好意を持っていなかった。のみならず、憎悪と反感とを抱いていた。彼は、日本人のために理由なしに家宅捜索をせられたことがあった。また、金は払うと云いつつ、当然のように、仔をはらんでいる豚を徴発して行かれたことがあった。