Classici giapponesi con furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Leggi 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 77.492 caratteri · 156 schermate
梶は部屋に戻り寝台に横になっても、夜か昼か分らぬ部屋の広さがうるさく眼について眠れなかった。しかし、日本を発(た)つとき、医者の友人が云ったように、日本人が誰もここではあのような眼にいつも逢って来たのであろうかと思うと、この日の自分の事実も自分個人のものとは思えぬ色どりに見えて来た。そして、ここはまだ自分の考え及ばぬ罌粟(けし)の花の中だと思う心も次第につよまって来るのだった。
次ぎの日、梶は眼を醒(さま)すともう十時を過ぎていた。ヨハンは眠むそうな顔で約束の時間に這入(はい)って来た。彼はいつもより笑顔を一層大きく拡げながら、正しいハンガリヤの礼をすませて、そして云った。
「昨夜は面白うございましたね」
「昨夜は、僕も面白かったですよ」
と梶も快活にヨハンに相槌(あいづち)を打つことが出来た。事実、昨夜のことを思うと、あれ以上に愉快なことはまたとあろうかと彼も思った。
「あのイレーネと喇叭ですね。喇叭はイレーネと小学校のときから同級で、そのときから彼女を思っていたのだが、今度初めてそれを云うことが出来て、こんな嬉しいことはないと云っておりました、どうもあの二人は結婚をするかもしれません」