Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate
次郎の眼は、われ知らず、それに吸いつけられた。
「どうだい、俊三。」
もう一度俊亮が促した。俊三はやはり返事をしない。そして相変らずお芳に何か囁いている。
お芳は困ったような顔をして、何度も首を横にふっていた。
「俊ちゃん、早くしないと、恭ちゃんと二人で行っちまうよっ。」
次郎がだしぬけに叫んだ。それはいかにも怒っているような声だった。
「いいんだようっ。母さんが行かないって言うから、僕も行かないようっ。」
俊三は、鬼ごっこでもするような、ふざけた調子で答えて、ふりむきもしなかった。
次郎はこみあげて来る無念さをごま化そうとして、変な作り笑いをしたが、さっきから自分を見つめていたらしい俊亮の眼にぶっつかると、急に立ちあがって二階にかけ上った。
二階からおりて来た彼は、もう帽子をかぶっており、手には恭一の帽子まで握っていた。
「叔父さん、行きましょう。」
彼は恭一の前に帽子をつき出しながら、徹太郎をせきたてた。
「まだお茶もあげないのに、何だね、次郎。」
お祖母さんがそう言って叱ったが、彼はもうそれには頓着せず、さっさと靴をはき出した。
「お茶はもう結構です。