Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate

Aozora Bunko

俊亮が出かける前にもっとよく話し合っておきたい、というのがその肚らしかった。俊亮は、しかし、

「日も短いし、早く行って、早く帰った方がいいんです。」

と、すぐ立ち上って次の間の箪笥の抽斗から自分で羽織を出しかけた。

次郎は俊三と肩を組んで元気よく二階からおりて来た。そのあとから恭一もついて来た。

「お祖母さん、次郎ちゃんはもう帰るんだってさあ、まだ休みが二日もあるのに。」

俊三が訴えるように言った。

お祖母さんは、しかし、それには答えないで、次郎のにこにこしている顔を、憎らしそうに見ながら、

「お前は正木へ行くのが、そんなに嬉しいのかえ。」

次郎の笑顔は、すぐ消えた。彼は默って次の間から出て来た父の顔を見上げた。

「何か、お土産になるものはありませんかね。」

俊亮は、その場の様子に気がついていないかのように、お祖母さんに言った。

「何もありませんよ。」

と、お祖母さんは、極めてそっけない。

「じゃあ、次郎、店に行って、壜詰を三本ほど結えてもらっておいで。」

次郎はすぐ店に走って行った。

「店の品じゃ可笑しくはないかい。それに重たいだろうにね。」

お祖母さんは、店の壜詰棚が、このごろ淋しくなっているのをよく知っていたのである。