Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate
と、お浜は、そのあとをどう言ったら、自分の言いたいことが言えるのか、ちょっとまごついたらしかったが、急に調子をかえて、
「あたし、ねえ、坊ちゃん、きょうお伺いして、ほんとうは、がっかりしていますのよ。」
「どうして?」
次郎は、不安な気がしながらも、そう問いかえさないわけにいかなかった。
「どうしてって、あたしは坊ちゃんの乳母やでしょう。それがきょうしばらくぶりでお訪ねしたんじゃありませんか。そしたら、かりにも坊ちゃんのお母さんと言われる人なら、何とか、もう少しぐらい、しみじみと坊ちゃんのお話をして下さるのが、あたりまえですわ。」
「母さんは、ふだんから、あまり物を言わないんだよ。」
「そうかも知れませんが、それにしても、あんまりですよ。坊ちゃんが学校からお帰りになるまえだって、一言も坊ちゃんのことはおっしゃらなかったのですよ。お話しになるのは、お祖母さんばっかり。……ねえ、お鶴、そうだろう。」
「ええ、そうだわ。」
お鶴は、いかにも不平らしく、強く合槌をうった。
「それに、お祖母さんのお話ったら、きいてて腹が立つことばかりなんでしょう。そりゃあ、もう、お祖母さんは、どうせそうだろうと、諦めてはいましたのさ。