Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate

Aozora Bunko

」

次郎はいつの間にか、襖の方に二三歩近づいていた。彼にはもう、話の内容がおぼろげながらわかりかけて来たのである。

「しかし――」

と、はじめて俊亮の声がきこえた。次郎はごくりと固唾をのんだ。

「この話は、次郎本位に考えるだけでいい、というわけでもありませんし……」

「ご尤も。」

とお祖父さんが言った。俊亮は少し声を落して、

「何しろ、ご存じの通りの内輪の事情ですから、誰に来てもらったところで、すいぶんつらいことがあるだろうと思います。」

「それはいたし方ない。先方も初婚というわけではないし、それに、さっきから話しましたような事情じゃで、とくと話せば、大ていのことは我慢する気になるだろうと思いますがな。」

「しかし、それも程度がありますのでね。それに、万一来て下さる方が、次郎の方にだけ親しみが出来るというようになりますと、いよいよ面倒になりまして、次郎のためだと思ったことが、かえって悪い結果にならんとも限りませんし……」

「なるほど、そこいらはよほど気をつけんとなりますまい。じゃが、かげになって次郎をかばってくれる女が、一人は居りませんとな。」

しばらく沈默がつづいた。