Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate
ただ、彼の心にいつも暗い影になってこびりついていたのは、やはり本田のお祖母さんだった。彼は、もう一人でも町に行けるようになっていたので、行きたいとさえ思えば、土曜ごとに泊りがけで行けるのだったが、実際に行くのは、せいぜい月一回ぐらいのものだった。それも、自分から進んで出かけようとしたことなど、ほとんどなく、たいていは、正木の老人たちにつれられたり、あるいはすすめられたりして、しぶしぶ出かけるといったふうだった。
それも、しかし、本田のお祖母さんの彼に対する仕打が、以前より一層ひどくなって来ている以上、無理もないことだった。本田のお祖母さんは、このごろでは、次郎をまるで本田の子供だとは思っていないかのようにあしらった。小学校を出たあと本田に帰って来られては迷惑だ、と言わぬばかりの口吻をもらしたことも、一度ならずあった。ある時など俊亮に向かって、
「この子もやはり中学校に出す気なのかえ。」とか、
「正木でお世話ついでに何とか考えてもらったら、どうだえ。」とか、次郎を目の前に置いて、平気でそんなことをいったことさえあった。
俊亮は、むろんそれには取りあわなかったが、次郎としては、将来の希望を打ちくだかれたような気がして、その時は正木に帰ってからも、永いこと暗い気持になっていた。