Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Leggi 歌行灯 (うたあんどん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.094 caratteri · 72 schermate

Aozora Bunko

こう捻平に声懸けられて、わずかに顔を振上げながら、きりきりと一まず閉じると、その扇を畳むに連れて、今まで、濶と瞳を張って見据えていた眼を、次第に塞いだ弥次郎兵衛は、ものも言わず、火鉢のふちに、ぶるぶると震う指を、と支えた態の、巻莨から、音もしないで、ほろほろと灰がこぼれる。

捻平座蒲団を一膝出て、

「いや、更めて、熟と、見せてもらおうじゃが、まずこっちへ寄らしゃれ。ええ、今の謡の、気組みと、その形。教えも教えた、さて、習いも習うたの。

こうまでこれを教うるものは、四国の果にも他にはあるまい。あらかた人は分ったが、それとなく音信も聞きたい。の、其許も黙って聞かっしゃい。」

と弥次が方に、捻平目遣いを一つして、

「まず、どうして、誰から、御身は習うたの。」

「はい、」

と弱々と返事した。お三重はもう、他愛なく娘になって、ほろりとして、

「あの、前刻も申しましたように、不器用も通越した、調子はずれ、その上覚えが悪うござんして、長唄の宵や待ちの三味線のテンもツンも分りません。この間まで居りました、山田の新町の姉さんが、朝と昼と、手隙な時は晩方も、日に三度ずつも、あの噛んで含めて、胸を割って刻込むように教えて下すったんでございますけれど、自分でも悲しい。