Classici giapponesi con furigana
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うたまろざんげ
歌麿懺悔
邦枝 完二
Leggi 歌麿懺悔 (うたまろざんげ) di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.396 caratteri · 23 schermate
あの顔、あの声、あの足音。――それは如何に忘れようとしても、忘れることの出来ない、南町奉行の同心、渡辺金兵衛の姿なのだ。――
「つね。おもての雨戸の心張を、固くして、誰が来ても、決して開けちゃならねえぞ」
「はい」
「酒だ。それから、速く床をひいてくんねえ」
まごまごしている雇婆を急き立てて、冷のままの酒を、ぐっと一息に呷ると、歌麿の巨体は海鼠のように夜具の中に縮まってしまった。
「ああいやだ。――」
もう一度、ぶるぶるッと身を顫わせた歌麿は、何とかして金兵衛の姿を、眼の先から消そうと努めた。が、そうすればする程、却ってあの鬼のような金兵衛の顔は、まざまざと夜具の中の闇から、歌麿の前に迫るばかりであった。
「もう二度と、白洲の砂利は踏みたくねえ」
歌麿は誰にいうともなく、拝むようにこういって、掌を合せた。
その記憶は、五十日の手錠の刑に遭った、あの一昨年の一件に外ならなかった。
つばくろの白い腹がひらりとひとつ返る度毎に、空の色が澄んでくる、五月の半ばだった。前夜画会の崩れから、京伝、蜀山、それに燕十の四人で、深川仲町の松江で飲んだ酒が醒め切れず、二日酔の頭痛が、やたらに頭を重くするところから、おつねに附けさせた迎い酒の一本を、寝たままこれから始めようとしていたあの時、格子の手触りも荒々しく、案内も乞わずに上っ