Classici giapponesi con furigana
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ぶけわらじ
武家草鞋
山本 周五郎
Leggi 武家草鞋 (ぶけわらじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.835 caratteri · 35 schermate
山へはいります」
「それをお止めは致しません、そうしたいと仰しゃるならお好きなようになさいまし、しかしなにもかも敗北ということにお考え違いはございませんか、もう辛抱が続かないということに思い過しはございませんか」
「聞いて頂けばおわかり下さろうと存じます」
かれは面をあげて語りだした。柏屋の手代のこと、人足たちのこと、山葡萄を摘むことさえゆるさなかった娘のことなど、……話すうちにも新しく怒りがこみあげてきて、身が震え、声がよろめいた。
「わたくしにはできません、手ごころをして弱い草鞋を作ることも、人足たちといっしょに役得の時間を偸むことも、わたくしにはどうしてもできないことです」かれは両の拳をぎゅっと握りしめた、「……この村をとり巻いている山々や森や、丘や草原の清浄な美しさ、明け昏れの静かさ、風光も人間も、汚れのない淳朴な土地だと思っていましたが、やっぱりだめです、自然が恵んで呉れる一粒の山葡萄をさえ惜しむ、あの貪欲な娘の眼をごらんになったら、ご老人はどのようにお考えなさるでしょうか、もうたくさんです、わたくしにはこういう汚れはてた世間に生きてゆく力はありません、たくさんです……」