Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わすれえぬひとびと

武蔵野

国木田 独歩

Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate

Aozora Bunko

もしこの事、単にわが空漠たる信念なりとするも、わが心この世の苦悩にもがき暗憺たる日夜を送る時に当たりて、われいかにしばしば汝に振り向きたるよ、ああワイの流! 林間の逍遙子(しょうようし)よ、いかにしばしばわが心汝に振り向きたるよ!

しかしてわれ今、再びここに立つ。わが心は独に今のこの楽しさを感ずるのみならず、実にまた来たるべき歳月におけるわが生命とわが食物とは今のこの時の感得中にあるべきなり。あえて望むはその感得の児童の際のごとからんことなり。

あの時は山羊のごとく然り山野泉流ただ自然の導くままに逍遙したり。あの時は飛瀑の音、われを動かすことわが情のごとく、巌や山や幽なる森林や、その色彩形容みなあの時においてわれを刺激すること食欲のごときものありたり。すなわちあの時はただ愛、ただ感ありしのみ、他に思考するところの者を藉り来たりて感興を助くるに及ばざりしなり。されどかの時はすでに業に過ぎ逝きたり。

しかもわれはこの経過を唸かず哀(かな)しまざるなり。われはこの損失を償いて余りある者を得たり。すなわちわれは思想なき児童の時と異なり、今は自然を観ることを学びたり。