Classici giapponesi con furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
その後今日が日までほとんど十年の間、僕は何度この島かげの顔も知らないこの人を憶い起こしたろう。これが僕の「忘れ得ぬ人々」の一人である。
『その次は今から五年ばかり以前、正月元旦を父母の膝下で祝ってすぐ九州旅行に出かけて、熊本から大分へと九州を横断した時のことであった。
『僕は朝早く弟と共に草鞋脚絆で元気よく熊本を出発った。その日はまだ日が高いうちに立野という宿場まで歩いてそこに一泊した。次の日のまだ登らないうち立野を立って、かねての願いで、阿蘇山の白煙を目がけて霜を踏み桟橋を渡り、路を間違えたりしてようやく日中時分に絶頂近くまで登り、噴火口に達したのは一時過ぎでもあッただろうか。熊本地方は温暖であるがうえに、風のないよく晴れた日だから、冬ながら六千尺の高山もさまでは寒く感じない。高嶽の絶頂は噴火口から吐き出す水蒸気が凝って白くなっていたがそのほかは満山ほとんど雪を見ないで、ただ枯れ草白く風にそよぎ、焼け土のあるいは赤きあるいは黒きが旧噴火口の名残をかしこここに止めて断崖をなし、その荒涼たる、光景は、筆も口もかなわない、これを描くのはまず君の領分だと思う。