Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わすれえぬひとびと

武蔵野

国木田 独歩

Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate

Aozora Bunko

されど母上はなお貴嬢が情けの変わりゆきし順序をわれに問いたまいたれど、われいかでこの深き秘密を語りつくし得ん、ただ浅き知恵、弱き意志、順なるようにてかえって主我の念強きは女の性なるがごとしとのみ答えぬ。げにわれは思う、女もし恋の光をその顔に受けて微笑む時は花のごとく輝く天津乙女とも見ゆれど、かの恋の光をその背にして逃げ惑うさまは世にこれほど醜きものあらじと、貴嬢はいかが思いたもうや。

母上との物語をおえて二階なるわが室にかえり、そのまま身を椅子に投げ、両手もてわが顔をおおいぬ。この時こころの疲れ、身の疲れを一時に覚えて底なき穴に落ちゆく心地し、しばしは何事をも忘れたり。夢現の境を漂うて夜のふくるをも知らざりしが、ふと心づきて急に床に入りたれど今は心さえてたやすくは眠るあたわず、明けがた近くなりてしばしまどろみぬと思うや、目さめし時は東の窓に映る日影珍しく麗かなり、階下にては母上の声す、続いて聞こゆる声はまさしく二郎が叔母なり、朝とく来たりて何事の相談ぞと耳そばだつれど叔母の日ごろの快活なるに似ず今朝は母もろともしめやかに物語して笑い声さえ雑えざるは、いぶかしさに堪えず、身を起こして衣着かえんとする時階段を上り来る音してやがて頭さしいだせしはわが妹なり、宮本の叔母様来たりたまいぬ早く下りたまえと言い捨てて