Classici giapponesi con furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
貴嬢がかかる気高き兄君をもちたもうことはわれらまことに知らざりき、まして貴嬢が鎌倉の辺に遊びたもうは始めての由を聞き、われらあきれてしばしは物も得言わず眼をみはりて貴嬢を打ち守りたる、こは理あることと貴嬢もうなずきたまわん、かくにわかに顔色を変えたもうは限りなき恥を感じたまいしこととわれらは見たり。貴嬢はよも鎌倉にて初めて宮本二郎にあいたまいたる、そのころの本末を忘れたまわざるべければ。
鎌倉ちょう二字は二郎が旧歓の夢を呼び起こしけん、夢みるごときまなざし遠く窓外の白雲をながめてありしが静かに眼を閉じて手を組み、膝を重ねたり。
げに横浜までの五十分は貴嬢がためにも二郎がためにもこの上なき苦悩なりき、二郎には旧歓の哀しみ、貴嬢には現場の苦しみ、しかして二人等しく限りなきの恥に打たれたり。ただ貴嬢の恥は二郎に対する恥、二郎の恥は自己に対する恥、これぞ男と女の相違ならめ。
汽車横浜に着きてわれら立ちあがりし時、かの君も立ちあがりて厚く礼のべたもう、その時貴嬢もまたわずかに顔なるハンケチを外して口ごもりたもうや直ちにまた身を座に投げハンケチを顔に当てたまいぬ。