Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
泡立つ杯は月の光に凝りて琥珀の珠のようなり。二郎もわれもすでに耳熱し気昂れり。月はさやかに照りて海も陸もおぼろにかすみ、ここかしこの舷燈は星にも似たり。
げに見るに忍びざりき、されど彼女自ら招く報酬なるをいかにせん、わがこの言葉は二郎のよろこぶところにあらず。
二郎、君は報酬と言うや、何の報酬ぞ。
われ、人の愛を盗みし報酬なり。
二郎はしばし黙して月を仰ぎつ、前なる杯を挙げ光にかざせば珠のごとき色かれが額に落ちぬ。しからば愛を盗まれし者の報酬は何ぞと言いつつ飲み干せり。われ、哀しき心にその美酒の浸み渡る心地ならめ。二郎は歓然として笑いまた月を仰ぎぬ。
この時檣のかなたに立つ人あり、月を背にして立てばその顔は知り難し。突然こなたに向きて、しからば問いまいらせん、愛の盗人もし何の苦悩をも自ら覚えで浮世を歌い暮らさばいかに、これも何かの報酬あるべきか。
二郎は高く笑いてわが顔をながめ、わが答えをまつらんごとし。問いの主はわれ聞き覚えある声とは知れど思いいでず。檣の方に身を突きいだして、御問いに答えまいらすはやすし、こなたに進みてまず杯を受けたまえといえば、二郎は、来たれ来たれと手招きせり。