Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わすれえぬひとびと

武蔵野

国木田 独歩

Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate

Aozora Bunko

何心なく受け取りてかれはしばし言葉なくながめ入りぬ、月の光は冷ややかに貴嬢が姿を照らせり。

そはなんじが叔母に託して昨年の夏の初め、品川出帆の朝、わがもとに送りたる品なり、今再びこれをなんじに還さん、なんじはなお手もとに置き難しと言うや、かく言いしわが言葉は短けれどその意は長し。

二郎はなお言葉なくながめ入りぬ。

げにかたじけなしと軽く戴き内衣兜に入れて目を閉じたり。

二郎がこの言葉はきわめて短くこの挙動ははなはだ単純なれど、その深き意はたやすく貴嬢の知り得ざるところなり。

なんじはげにわが友なりと二郎はわが手を堅く握りて言えり、その声はふるいぬ。われこの時二郎に向かって、よししからばわが言うをきけ、人は到底陸の動物なり、かつなんじはわれらと共になすべき業を有すと言い放つを願わざりしにはあらねど、されど二郎ほどの男、わが言葉によりて感憤するほどの不覚をなさじ、かれ必ずかれの志あり、海を懼れず陸を懼れずなさんと欲するところをなすはこの若者なるをわれ知れば、ただしばしそのなすところに任さんのみと思いてやみぬ。

二郎はわれを導きてその船室に至り、貴嬢の写真取り出して写真掛けなるわが写真の下にはさみ、われを顧みてほほえみつ、彼女またわれらの中に帰り来たりぬといえり。