Classici giapponesi con furigana
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せっしょうだにのおにび
殺生谷の鬼火
山本 周五郎
Leggi 殺生谷の鬼火 (せっしょうだにのおにび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9545 caratteri · 19 schermate
僅に他処へ出ていた者がその難を免れて家を継いだのだ。今度はその第四回目に当るのだ」
「どうして其が分かったのですか」
「西の源治が土蔵の中から捜出した、古い記録に精しく記してある――読んで御覧」
そう云って父は、枕許にあった一冊の古ぼけた記録を取って渡した。
東京へ帰るという問題から逃げるために、敦夫は少しその記録を調べるからと云って病室を辞し、洋館へ入って卓子の上へその古冊子を披げた。――土佐の古漉紙を二枚に折った十枚綴じの物で、ひどく古色が出ているが蝕いの痕はない。余程保存が良かったとみえて、墨色の褪せも少く、六朝風の達筆で「殺生谷の鬼火に就ての秘録」という題名の本に、恐ろしい呪の事実が精しく書認めてあった。それは父の話した通り、実に戦慄すべき記録なのだ。
「分らん、頭が混乱する許だ。――ゆうべよく眠っていない故かも知れない」
「お午睡をなさいよ」
千代子が労わるように云った。
「あたし吉井村のお友達の家まで行って来るから、そのあいだお兄さまもお寝みになると宜いわ」
「お友達の家で何かあるのかい」
「ええ、お友達のお義姉さまに赤ちゃんが生れたのよ、それでお祝いを持って行かなくちゃならないの、夕方までには帰るわ」