Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はは

母

太宰 治

Leggi 母 (はは) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7223 caratteri · 15 schermate

Aozora Bunko

「君は、こんないい洋服を持っているくせに、僕の家へ来る時には、なぜあんな、よごれた軍服みたいなものを着て来るのかね。」

「わざと身をやつして行くのです。水戸黄門でも、最明寺入道でも、旅行する時には、わざときたない身なりで出かけるでしょう? そうすると、旅がいっそう面白くなるのです。遊び上手は、身をやつすものです。」

旧暦のお正月の頃で、港町の雪道は、何か浮き浮きした人の往き来で賑わっていた。曇っていた日であったが、割にあたたかで、雪道からほやほや湯気が立ち昇っている。

すぐ右手に海が見える。冬の日本海は、どす黒く、どたりどたりと野暮ったく身悶えしている。

海に沿った雪道を、私はゴム長靴で、小川君はきゅっきゅっと鳴る赤皮の短靴で、ぶらぶら歩きながら、

「軍隊では、ずいぶん殴られましてね。」

「そりゃ、そうだろう。僕だって君を、殴ってやろうかと思う事があるんだもの。」

「小生意気に見えるんでしょうかね。しかし、軍隊は無茶苦茶ですよ。僕はこんど軍隊からかえって来て、鴎外全集をひらいてみて、鴎外の軍服を着ている写真を見たら、もういやになって、全集をみな叩き売ってしまいました。