Classici giapponesi con furigana
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ははのじょうきょう
母の上京
Leggi 母の上京 (ははのじょうきょう) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.655 caratteri · 33 schermate
エ、靴か、うむ、なるほど」
古典芸術の舞台で仕上げた女の魂もヨタ者に対しては論外で、色を失ひ、唇から全身へかけてブル/\ふるへながら着物をぬいでゐる。
二人の身体だけが無事残された。
然しアルコールの蒸気に魂の中味までむしたゞれてゐる夏川は、裸の方が涼しくてよかつた。彼はヨタ者と握手をして、手をふつて別れると、忽ち快い睡気を催して、物蔭を幸ひ、その場へグタ/\、ヒロシの切なる懇願もあらばこそ、前後不覚にねむつてしまつた。
ふと目が覚めると、彼の全身は臓腑まで冷え、重く節々の軋むやうな疼痛が全身にしがみついてゐるのである。たゞ喉だけが焼けたゞれて自然に口をアングリあけてフイゴのやうな風を吹いたり入れたりしてゐる。驚いて見廻すと、やはらかく、あたゝかいものが手にふれた。ヒロシであつた。
ヒロシは彼の背にピッタリと坐つてゐた。端然と、まさしく端然と坐してゐるのであらうけれども、端然などと人が云ふのは着物あつてのことで、フンドシ一つの端然といふ姿はない。然るべき着物を然るべく着こなして、日頃くづれといふものを露ほども見せたことのない身だしなみの格別の色若衆であつた。