Classici giapponesi con furigana
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ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
Leggi 母子叙情 (ぼしじょじょう) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 77.355 caratteri · 153 schermate
「お立派な方ですこと」かの女はしんから云った。
「いえ、似ちゃおりません」
重ねて云った夫人の言葉は、かの女がびっくりして夫人の顔を見たほど、意地強い憎みの籠った声であった。そしてなおかの女が驚きを深くしたことは、夫人の面貌や態度に、今までに決して見かけなかった、捨て鉢であばずれのところを現わして来たことだった。夫人は、
「あは、はははは」
何ということなしに笑ったようだが、その顔や声は夫人が古風な美貌であるだけに、ねびた嫌味があった。
夫人は自分の変化をかの女に気取られたのを知って、ちょっとしまったという様子を見せ、指を旧式な「髷なし」という洋髪の鬢と髱の間へ突込んで、ごしごし掻きながら、しとやかな夫人を取り戻す心の沈静に努める様子だったが、額の小鬢には疳の筋がぴくりぴくり動いた。小鼻の皮肉な皺は窪まった。
かの女は目前の危急から逃れ度いような気もちになって、何か云い紛らしたかった。
「規矩男さんは、ご主人に似ていらっしゃいますこと」
「規矩男は主人に似てるといっても形だけなんでございますよ。あれはとても主人のようにはなれますまい」
ここでまた夫人は白く笑った。