Classici giapponesi con furigana
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もうりせんせい
毛利先生
Leggi 毛利先生 (もうりせんせい) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.383 caratteri · 25 schermate
最後に先生の風采を凡人以上に超越させたものは、その怪しげなモオニング・コオトで、これは過去において黒かったと云う事実を危く忘却させるくらい、文字通り蒼然たる古色を帯びたものであった。しかも先生のうすよごれた折襟には、極めて派手な紫の襟飾が、まるで翼をひろげた蛾のように、ものものしく結ばれていたと云う、驚くべき記憶さえ残っている。だから先生が教室へはいると同時に、期せずして笑を堪える声が、そこここの隅から起ったのは、元より不思議でも何でもない。
が、読本と出席簿とを抱えた毛利先生は、あたかも眼中に生徒のないような、悠然とした態度を示しながら、一段高い教壇に登って、自分たちの敬礼に答えると、いかにも人の好さそうな、血色の悪い丸顔に愛嬌のある微笑を漂わせて、
「諸君」と、金切声で呼びかけた。
自分たちは過去三年間、未嘗てこの中学の先生から諸君を以て遇せられた事は、一度もない。そこで毛利先生のこの「諸君」は、勢い自分たち一同に、思わず驚嘆の眼を見開かせた。と同時に自分たちは、すでに「諸君」と口を切った以上、その後はさしずめ授業方針か何かの大演説があるだろうと、息をひそめて待ちかまえていたのである。