Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もうりせんせい

毛利先生

芥川 竜之介

Leggi 毛利先生 (もうりせんせい) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.383 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

この唐突たる挨拶の終り方が、いかに自分たちを失望させたか、と云うよりもむしろ、失望を通り越して、いかに自分たちを滑稽に感じさせたか、それは恐らく云う必要もない事であろう。

しかし幸いにして先生は、自分たちが笑を洩すのに先立って、あの家畜のような眼を出席簿から挙げたと思うと、たちまち自分たちの級の一人を「さん」づけにして指名した。勿論すぐに席を離れて、訳読して見ろと云う相図である。そこでその生徒は立ち上って、ロビンソン・クルウソオか何かの一節を、東京の中学生に特有な、気の利いた調子で訳読した。それをまた毛利先生は、時々紫の襟飾へ手をやりながら、誤訳は元より些細な発音の相違まで、一々丁寧に直して行く。発音は妙に気取った所があるが、大体正確で、明瞭で、先生自身もこの方面が特に内心得意らしい。

が、その生徒が席に復して、先生がそこを訳読し始めると、再び自分たちの間には、そこここから失笑の声が起り始めた。と云うのは、あれほど発音の妙を極めた先生も、いざ翻訳をするとなると、ほとんど日本人とは思われないくらい、日本語の数を知っていない。あるいは知っていても、その場に臨んでは急には思い出せないのであろう。