Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Leggi 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.533 caratteri · 52 schermate

Aozora Bunko

「お兄様、行きましょう」

そこから二十メートルばかりは、かなり激しい水勢に押し流されるように、三人は胸まで浸って進みました。健一は銅板を頭の上に載せて、片手に高々と蝋燭をかかげ、懐中電灯を振りかざした綾子がそれに続き、一番最後は燿子が、これも懐中電灯を持って、覚束ない足捜りに進みました。

「石があるぞ、――左は深いぞ」

健一は時々そう言いました。

牛の歩みのように、又十メートルばかり。

「あッ」

健一は思わず足を踏み滑らして、水の中に倒れました。急に深くなったのです。水泳の名選手はすぐ起上りましたが、蝋燭はどこかへ流されてしまった様子です。

「お兄様、背が立たないワ」

「泳いで来い」

綾子も燿子も少しは泳ぎますが、靴をはいて着物を着ている上に懐中電灯を濡らすまいと思うと大骨折です。

「あッ」

激しい大きい波、――急に隧道の入口でも崩れたのでしょう、あっと言う間に二少女は水に呑まれて、懐中電灯を取落してしまいました。

四方は塗り潰したような闇。

「どうした、綾子さん、燿ちゃん」

健一は大声で呶鳴りました。

「ここよ、お兄様」

「私はここよ」

幸い綾子も燿子も浅いところへ這い上った様子ですが、蝋燭も懐中電灯も取落して、鼻をつままれてもわからない闇です。