Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すいま

水魔

田中 貢太郎

Leggi 水魔 (すいま) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.727 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

「なにをそんなに、きょろきょろ見ているのだ」

岩本に注意せられて山西ははじめて腰をかけた。

「ビールにしようか」と、岩本が云った。

「俺はウイスキーにする」山西はうんと酔って心を大きく持ちたかった。

やがて岩本の前にビールが来、山西の前にウイスキーが来た。

「四五日見えなかったが、どうしていたのだ」

「店がいそがしいものだから出なかった」

「いやに殊勝なことを云うぜ、また、刑事から注意でもせられたのだろう、駒形堂の傍の船板塀とか何んとか、変なことを云ってたから……」

「いや、ほんとうに店がいそがしかったよ」

「いやに弁解するところを見ると、お目出たくないことがきっとあったね」

山西はこんなことから罪悪が発覚してはならないと思ったので、極力弁解した。

「ますます弁解が苦しいが、朋友の交誼に、店がいそがしかったと云うことにしておいてやろう」と、岩本は始終笑っていた。

「山西さん、お客さんですよ」と、給仕女の呼ぶ声がした。

山西はびっくりして顔をあげた。入口の処に小間使風の壮い女が用ありそうに立っていた。山西はまた怪しい小女ではないかと思って好く見たが、それは十八九に見える円顔の女であった。