Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すいま

水魔

田中 貢太郎

Leggi 水魔 (すいま) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.727 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

「そうじゃなかろう、投げ込みができなかったろう」

「どうして、子守を追っかけてる人なんかにゃ、想像はできないよ」

「よせよ、よく山の上のベンチの傍へ来る、老婆さんだろう」

「野釣りなんかじゃないよ」

「じゃ、造花屋か」

「そんな下等な者じゃないと云うに、まあ好い、これから倶楽部へ往ってビールでも飲みながら話そう」

二人は笑いながら伴れだって仁王門から出て、区役所のほうへ折れて往き、その傍にある小さなバーへ入った。六箇ばかり据えた食卓に十人ばかりの客が飛とびに向っていた。二人は左手の隅の食卓についてビールを注文すると、顔馴染の肥った給仕女が二つの洋盃を持って来た。

「話してもらおうかね、今の、おっそろしい広告の物品は何だね」と岩本は冷笑かすように云った。

「咽喉を潤しておいてから……」と、山西は一口飲んで、隣の食卓に正宗の壜を二三本並べている髯の黒い男を気にしながら、「もとは柳橋にいた奴だよ、今は、駒形堂の傍に、船板塀に見越の松と云う寸法だ、しかも、それが頗るの美と来てるからね」と小声で云って笑顔をした。

「好いかい、また、そんな者を追っかけてて、留置場の御厄介になろうと云うのじゃないか、昨夜千束町の方で、あの出っ歯の刑事にあったら、山西は近比どうだって、君のことを聞いてたぜ」