Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みずとりてい

水鳥亭

坂口 安吾

Leggi 水鳥亭 (みずとりてい) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.705 caratteri · 62 schermate

Aozora Bunko

娘は目を白くして、舌打ちした。

「衣裳道楽の大伯母さまが、一生かかっておあつめになった美術品のような衣類を、そっくり私に下さるというのに。そんなもの、女中だって着やしない」

「モッタイないことを言うんじゃありませんよ。これはみんな私がお嫁入りのとき、持ってきた物なのよ。それをアレコレ工夫して、一生着こなしたんですから、なつかしいのよ。あなたのお父さんに着物を買っていただいたことなんて、一度もありません」

娘は母の感傷などに一顧を与えた様子もなかった。しかし父への軽蔑は新にしたようであった。

「それ、ほんと。お嫁入りして今までに?」

「ほんとですとも」

「ほんとかしら。お嫁入りして今までッて云えば、私の年よりも多いわけだわね」

「あたりまえよ」

「フウン。グズだわね」

母の無言は同意をあらわしているのである。

戦時の夜は静かであった。二人の会話はグズの耳に筒ぬけにきこえた。

亮作は検定試験をうけて、中等教員になろうと思っていた。小学校の教員になると、ただちに受験準備をはじめたのである。彼の乏しい給料は概ねそのために費された。歴史と地理を志し、後に国漢も受けたが、何度やってもダメであった。