Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
彼は少しく酔っていたので、茶屋から駕籠にゆられながら快い心持ちにうとうとと眠って行くと、夢かうつつか、温かい柔かい手が蛇のように彼の頸にからみ付いた。女のなめらかな髪の毛が彼の頬をなでた。白粉の匂いがむせるように鼻や口をついた。眼の大きい、眉の力んだ女の顔がありありと眼の前にうき出した。
と思う途端に、駕籠の先棒がだしぬけに頓狂な声で、「おい、この駕籠は滅法界に重くなったぜ」と、呶鳴った。
外記ははっと正気にかえった。そうして、駕籠が重くなったということを何かの意味があるように深く考えた。
今までは自分一人が乗っていた。そこへまぼろしのように女が現われて来た。駕籠が急に重くなった。眼に見えない女のたましいが何処までも自分の後を追って来るのではあるまいか。
「なんの、ばかばかしい。なんとか名を付けて重た増しでも取ろうとするのは駕籠屋の癖だ」と、外記は直ぐに思い直して笑った。
しかしそれが動機となって、彼は再び吉原が恋しくなった。駕籠屋の言うのは嘘と知りつつも、彼は無理にそれを本当にして、もしや女の身に変った事でも起った暗示ではあるまいかなどと自分勝手の理屈をこしらえて見たりした。