Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
男も立端を失ったように、一度しまいかかった袂落しの煙草入れを又あけて、細い銀煙管から薄いけむりを吹かせていたが、その吸い殻をぽんと叩くのをきっかけに、今度は思い切って起ちあがった。
「まあ、からだを大事にするがいい。又近いうちに来るから」
「列び茶屋へばかり行かないでね、ちっとこっちへも来てくださいよ」
思い余ったお絹の口から忌味らしいひと言がわれ知らずすべり出ると、林之助は少し顔をしかめて立ち停まった。
「列び茶屋へ行く……。誰が」
「お前さんがさ。みんな知っているよ」
乗りかかった船で、お絹もこう言った。
「へん、つまらねえことを言うな」
問題にならないというような顔をして、男はすたすた出て行こうとした。
そのうしろ姿をじっと見つめているうちに、お絹は物に憑かれたように俄かにむらむらと気が昂って来た。彼女は不意に起ちあがって長火鉢の角につまずきながら、よろけかかって男の肩にしがみついた。
「林さん。おまえさん、ずいぶん薄情だね」
だしぬけに鋭いヒステリックの声を浴びせられて、気でも違いはしないかというように、林之助は呆気にとられた顔をしてお絹をみると、彼女のものすごい眼は上吊っていた。