Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
「なにをするんだよ。人の袂へ手をやって……。おまえ巾着切かえ」
「なんだ、なんだ。袂に大事の一巻でも忍ばせてあるのか」と、千次郎は笑った。
「ええ、大事なものよ。おまえさんに見せて上げましょうか。あたしの袂に忍ばせてあるのは商売道具の青大将よ」
そばにいた女中たちはきゃっといって飛び上がった。まだその正体を見とどけないうちに、千次郎も顔色を変えて起ち上がった。お絹はあざ笑いながら両方の袂を軽く振ってみせた。
「ほら、ご覧なさい。大丈夫。だが、和泉屋の若旦那。おまえさんは随分たのもしくないのね。あたしの商売がなんだということを今初めて知ったんじゃありますまい。それを承知の上でここまで呼び出して置きながら、蛇と聞くと直ぐに悚毛をふるって逃げ腰になるようじゃあ、とても末長くおつきあいは出来ませんね。ねえ、花ちゃん。それを思うと、向柳原はやっぱり可愛いところがあるね。なにしろ蛇とあたしと一緒に小一年も仲よく暮らしたんだからねえ」
お絹はもう行儀よく坐っていられないほどに酔いくずれていた。彼女は片手を畳に突いて、ぐったりと疲れた人のように、痩せた肩で大きい息をついていた。