Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
実際、海賊の子ということが彼の名誉ではなかった。気の弱い六三郎は父の悲惨な死を悲しむと同時に、自分の身に圧しかかって来る世間のむごい迫害を恐れた。自分ばかりではない、大恩のある親方の顔にまでも泥を塗ったのを、彼はひどく申し訳のないことに思って嘆いた。
「そんなことをいつまでもくよくよするな、人の噂も七十五日で、そのうちには自然と消えてしまうに決まっている。ちっとの間の辛抱じゃ。ひとが何を言おうとも気にかけるな」
親方はこう言って、いつも六三郎を励ましていた。六三郎は涙を流してありがたく聴いていた。その弱々しい泣き顔を見ると、親方もいじらしくってならなかった。いくら屈託しても今更仕方がない、ちっと酒でも飲んで見ろなどともいった。
父の首が梟されてから十三日目の晩に、六三郎は手拭に顔を包んでそっと福島屋へ訪ねて行った。今の身の上で晴れがましい遊興はできない。彼はお園を格子口まで呼び出して、そのやつれた蒼白い顔を見せた。このあいだから男の身を案じ暮らしていたお園は、薄暗い軒行燈の下にしょんぼりと立っている六三郎の寂しい影を見た時に、涙がまず突っ掛けるようにこぼれて来た。