Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
これから五年六年といえば長いようだが、過ぎてしまうのは夢のうちだ」と、半九郎は諭すように言い聞かせた。
ひとには面白そうに見えるかも知れないが、およそここらに勤めている人に涙の種のない者はない。現にあの市さまの相方のお花女郎も、親の上、わが身の上にいろいろの苦労がある。まして自分のように胸の狭いものは、こののち一日でも面白そうに暮らされよう筈がない。店出しから今日までの短い月日が極楽、この先の長い月日は地獄の暗闇と、自分ももうあきらめているとお染はまた泣きつづけた。
困ったものだと半九郎も思いわずらった。彼はこのいじらしい女をどう処分しようかといろいろに迷った末に、あくる朝、坂田市之助の宿所をたずねると、市之助はめずらしく宿にいた。源三郎もいた。
過日の晩、半九郎は途中で源三郎に約束して、あしたはきっと兄を帰してやると言ったが、市之助は花菱に酔い潰れて帰らなかった。その以来、源三郎はいよいよ半九郎を信用しなくなった。日ごろの親しみは頓に薄らいで、彼は半九郎を兄の悪友と認めるようになった。
その半九郎が早朝から訪ねて来たので、源三郎はこれから外出しようとするのを暫く見合せて注意ぶかい耳を引き立てていた。