Classici giapponesi con furigana
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けっせんかわなかじま うえすぎけんしんのまき
決戦川中島 上杉謙信の巻
Leggi 決戦川中島 上杉謙信の巻 (けっせんかわなかじま うえすぎけんしんのまき) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9278 caratteri · 19 schermate
ただ見る疲労の色あるはこれ童貞
「さっきの句よりはいくらかマシだ」
余は破かずに紙片を投げ返した。放善坊はカラカラと笑い、
「万事、食慾の問題ですよ。坊主の食物を食ってたんじゃア、いつまでもウダツがあがりませんや。まこれなる物を召し上れ。これが鯉のアライ。こちらがキスのフライ。そして、こちらが――オイ、オイ。女中!」
放善坊は大慌てに女中をよんだ。そして、叱りつけた。
「キサマのウチは客人にタニシを食わせるのか」
「バカ云いなれ。それタニシらかね。バイらがね」
「バイとは、なんだ」
「バイらて」
「きっとタニシでないか」
「タニシが海にいるかね」
「これが海の貝か」
「食べてみなれ」
余はバイを一つつまみ、臍の緒のようなものをひきだして舌にのせた。噛みしめると、実にうまい。貝の堅さがなく、草木の若芽の如くに腹中に溶けこむ趣きである。余は皿のバイをみな平らげて、放善坊の皿をひきよせた。余がバイを食する様を小気味よげに打ち眺めていた放善坊はカラカラと大笑し、
「坊主の食物になれた人にはタニシが珍味と見えますな。田舎女中に笑われないようになさいまし」
余は彼の皿のバイもみな平らげて、女中に命じた。