Classici giapponesi con furigana
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ちんぼつおとこ
沈没男
海野 十三
Leggi 沈没男 (ちんぼつおとこ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4421 caratteri · 9 schermate
もっとも余は、すっかり風邪をひいて、かくの如く純毛純綿の中にくるまって宝石のような暮しをして居れど、頭はビンビン、涙と洟とが一緒に出るし、悪寒発熱でガタガタふるえている始末、お察しあれ――といったのでは、よく分らないかもしれないが、早くいえば、余は只今、ロイヤル・オーク号上に居るのではなく、スカパフロー軍港附属の地下病院の一室に横わっているのである。
余は、乗艦後二十四時間もたたないのに、こんな病院に横わろうとは、夢にも思わなかった。これは決して、余が小胆のあまり自ら進んでロイヤル・オーク号から降りたわけではなく、只今では、生きている人間は、全部該艦から締め出しを食っているのだから誤解のないように。だから、余も亦こうして生きている限り、あの艦には乗れないのである。余は、無理やりに退艦させられしまった。しかも一時間十五分というものを、夜の北海の、あの冷い潮に浸っていたのであるから、まことに御念の入ったことであった――という訳は、わがロイヤル・オーク号は、昨夜、スカパフロー港の底に沈んで了ったのである。
余は、なんにも覚えていない。あのとき夜の甲板へ、新鮮なる空気を吸いに出たことまでは覚えているが、あとは知らない。