Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

Leggi 沙漠の古都 (さばくのこと) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.076 caratteri · 220 schermate

Aozora Bunko

鉛色、鯖色、淡黄色、そして次第に桃色になり原始林に太陽が昇った時には深紅の色に輝いた。

高原に囲まれ林に蔽われ湖水を湛えたこの別天地は、こうして夜が明け太陽が出て全く昼となったのであった。恐ろしい昨夜の大山火事はどっちの方角へ燃えて行ったものか、そんな恐ろしい山火事などは全然どこにもなかったようにこの別天地は静かであった。

しかし私にはこの別天地があまり静かであるがためにかえって物凄く思われて来た。豹の鳴き声でも聞こえるといい、猪が林から出て来るといい、そうしたら若干南洋のボルネオの島にいるのだという境地に対する安心の念が自然に心に起こるだろうに。あまりに四辺が静かであるためかえって恐怖心が起こるのであった。

私と同じ恐怖の念がダンチョンの心にも起こっていると見えて、疑惑に充ちた眼付きをして彼はあたりを見廻していたが、突然私の肱を突いて嗄れた声で囁いた。

「見たまえあれを! あの顔を!」

何故か私は「顔」という言葉がこの時ゾッと身に沁みた。それで私は眼を躍らせ彼の指差す方向へ周章てて視線を走らせた。

顔! 顔! 人間の顔! しかも一つや二つではない。