Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なきむしこぞう
泣虫小僧
林 芙美子
Leggi 泣虫小僧 (なきむしこぞう) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.906 caratteri · 70 schermate
「叔父さんみたいな立派な人が沢山いるンだよ」
「…………」
啓吉が黙っているので、勘三も黙ったままぽつぽつ歩いた。「さてどこへ行くか」勘三は不図立ち停まって、封筒から原稿を出すと、新しい原稿を出して、その封筒へ入れ替えた。
「今度は新聞社だ」
「新聞社?」
「ああ」
いよいよ啓吉の靴は重くなった。裸の脚ががたがた震えた。マークのはいった旗をつけた新聞社の自動車が、幾台も並んでいる所へ出た。勘三はそこで物馴れた容子でのこのこ階段をあがって行った。啓吉は草臥れてしまって、入口の石段に傘をすぼめて腰をかけた。雨がにわかにひどくなった。自動車の旗がべろんと濡れさがっている。舗道は雨で叩きあげられて乳色に煙をあげていたが、新聞社の自動車が一台一台どっかへ滑って行くと、啓吉の目の前に小さい女のハンドバッグが陽に濡れて叩かれているのが見えた。
七
兎に角、二人はそっと濠端の方へ歩いて行った。
雨は益々ひどくなって、勘三の差しかけている蝙蝠傘が雨にザンザン叩かれている。ペンキ塗りの空家になったガレージの前へ来ると、
「啓ちゃん! それ出して御覧よ」と、勘三が立ちどまった。