Classici giapponesi con furigana
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なきむしこぞう
泣虫小僧
林 芙美子
Leggi 泣虫小僧 (なきむしこぞう) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.906 caratteri · 70 schermate
啓吉は遠いものを探しあてたように、伸一郎の唇の上へ、自分の額を押しつけた。
「ぐりぐり坊主、ぐりぐり坊主……」
と、小さい声でささやきながら、啓吉は、伸一郎の腋の下を擽ぐった。擽ぐりながら、二人はころころ転げまわった。啓吉は冷たい畳の上を伸一郎と転がりながら、あくびまじりに涙が溢れた。
「おい! おいたしてると、きかないよッ」
二階の梯子段の上から、寛子の顔が生首のように覗いた。階下では、菅子の優しい声で、
「子供だもの放っときなさいよ」
と、姉をたしなめている、ぽつんとした声がきこえる。
「真暗だね? 眠いンなら、二人とも降りていらっしゃい。その辺をばらばらにしていると叔父さんに叱られるよ」
啓吉はまた首を縮めた。
階下では、菅子が、牡丹色のジャケツに黒のジャアジイのスカートをはいて、横坐りになったままで、
「そりゃ勿論、姉さんがだらしがないのさ、だけど、女ってものは三十になったって、あンたのいうような、そンな分別なンてつかないと思うわ。しかも、五年も一人でいたンですもの、子供なンかかまってられないと思うの……」
「母性愛なンてものはなくなるかしら?」
「母性愛? 冗談じゃないわ、そンなことはあンたみたいに御亭主のある人のいうことさ、――あンなにまだ若づくりで、むちむちしてンですもの、苦労してる気持ち判るわよ……」