Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

Leggi 泣虫小僧 (なきむしこぞう) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.906 caratteri · 70 schermate

Aozora Bunko

掌では七ツの銅貨が汗ばんでいる。これで硝子壺は買えないかな。不図そんなことを考えて硝子屋の前に立ったが、どの正札も高い。やけくそで、ぴょんぴょんと片脚で溝を飛んで煙草屋へ這入ると、

「おおい啓ちゃん!」

と、呼ぶ者があった。

例の癖で、白目をぎょろりとさせて振り返ると、猫背の叔父さんが立っている。

「母さんと来たのかい?」

「ああさっき」

「何、煙草かい?」

「うん」

勘三は如何にも草疲れきったように、埃のかぶった頭髪をかきあげて、

「いいお天気だがなア」

とつぶやく。思わず啓吉は空を見上げたが、晴々しい黄昏で、点き初めた町の灯が水で濯いだように鮮かであった。

「煙草一本おくれよ」

「ああ」

小さい啓吉が煙草を差し出すと、勘三は丁寧に銀紙を破って、新しい煙草に火をつけた。

「叔父さん歩いて来たの?」

「ああ歩いて帰ったンだよ」

「遠いンだろう? 東京駅の方へ行ったの?」

「うん、色んなところへ行ったさ」

「面白かった?」

「面白かった? か、面白いもンか、どこも大入満員でさ、叔父さんの這入ってゆく余地は一寸もないンだよ」

「ふん。割引まで待てば空くンだろう?」

「腹がへって割引まで待てやせんよ。