Classici giapponesi con furigana
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どろぼうとわかとの
泥棒と若殿
山本 周五郎
Leggi 泥棒と若殿 (どろぼうとわかとの) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.601 caratteri · 41 schermate
うろたえた相手の顔が見えるようである。へまな人間をよこしたものだと、苦笑いをもらしたとき、そっちでぶつぶつ呟やくのが聞えた。
「おう痛え、擦り剥いちまった、ちきしょう、なんてえ家だ、どこもかしこもぎしぎし鳴りあがって、こんな陥し穴みてえなものまで有りあがって、――へっ、おまけにすっからかんで、どこになにがあるかわかりあしねえ、ちきしょう、まるで化物屋敷だ」
擦り剥いたところを縛るのだろう。手拭かなにか裂く音がした。こんどは人がいないものと信じたか、独りでしきりにぐちや不平をこぼしながら、暫らくそこらをごそごそやっていた。それからやがて襖をあけ、この寝所へとはいって来た。
ずんぐりと小柄の男だった。短かい半纏のようなものを着て、股引をはき、素足で、頬かぶりをしていた。もちろん武士ではないし、刺客などというものとも類の違う人間だ。
――とするとこれは、ことによると盗人というやつかもしれぬ。
そう思うと可笑くなって、成信はついくすくす笑いだした。相手はぎょっとしたらしい。こっちへふり返り、眼をすぼめて、そこに敷いてある夜具を眺め、その中に人間の寝ているのを見た。