Classici giapponesi con furigana
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どろぼうとわかとの
泥棒と若殿
山本 周五郎
Leggi 泥棒と若殿 (どろぼうとわかとの) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.601 caratteri · 41 schermate
……今でもどこか世間の隅のほうで、それぞれの苦しい生活に追われ、ときにつくねんと溜息でもついているのではないだろうか。
――みんな気の毒な、哀れな本当はよき人たちなんだ。少なくともおれの周囲にいる人間よりは人間らしい。
二十日あまりいっしょに暮すうち、成信はすっかり伝九郎が好きになった。彼の躯には生きた世のなかの匂いが附いている、良いところも醜くいところも、卑しさも清らかさもひっくるめた、正直なあるがままの人間の呼吸が感じられた。
「おう信さん、おめえどじょう汁を食うか」
「――よく知らないが食うだろう」
「食うだろうってどじょう汁も知らねえのか、へえ、おめえ知らねえものばかりじゃねえか」
「――うん、まあそんなところだ」
「よっぽど家が貧乏か、それともお大名の若さまみてえだぜ」
こんなふうで、まだ口にしたことのないものもいろいろ喰べた。武家の生活とは違って、無作法な下品なような感じであるが、すべてに情があり真実がこもっていた。――炊きたての飯に熱い汁をかけて食ううまさ、肌ぬぎの茶漬け、青じその香をきかした冷奴、さらに釜底の狐色に焦げたところへ塩をふった握り飯など、品も作法もなくうまかった。