Classici giapponesi con furigana
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どろぼうとわかとの
泥棒と若殿
山本 周五郎
Leggi 泥棒と若殿 (どろぼうとわかとの) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.601 caratteri · 41 schermate
成信はしまいまで横になっていた。そうして平馬が去ろうとしたとき、
「――みんなにそう云え、もうおれに構うな、いいか、おれのことは放っておけと」
刺客が自分のみかただったということは、なにより成信を不愉快にした。それは愚弄ではないか、そのとき成信はしんけんであった。本当に暗殺されるかもしれないと思った。枕のそばへ刀を置く習慣も、夜よく熟睡のできない癖も、みんなそれ以来身についたものである。
――刺客などが来るとすれば梶田一派のまわし者であろう。
城からみまわりに来た役人が、そう云って冷笑したことを思いだす。かれらは裏を掻かれていたわけであるが、成信の身にすれば、「裏を掻く」ことのほうがずっと恥かしかった。
「いやだ、つくづくいやな世界だ」
成信はこう呟やき、なにもかも忘れたいというように、頭をはげしく左右に振った。
「――伝九、二人でどこかへゆくか」
成信はその夜そう云った。
「悪くはねえな、おめえさえいて呉れりあ、おらあどこでどんな苦労でもするぜ」
「――なに、おれだって、なにか、するさ」
「それあさきゆきあそうさ、にんげん遊んで食ってちあ天道さまに申しわけがねえ、けれどもせくこたあねえぜ、おめえの躯が丈夫になり、そういう気持が出てからのはなしさ」