Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りゅうこうさっかのし

流行作家の死

野村 胡堂

Leggi 流行作家の死 (りゅうこうさっかのし) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.876 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

少年は大分応接間の空気に慣れて、何うやら彼うやら、これだけの事を報告しました。

「それで結構、さア、お礼の百円だ、受取ってくれ――でもう一つ二つ聞くが、電話の後で、その女の人からお礼を貰ったろうネ」

「え、百円札が一枚」

「それから着物の柄を覚えて居るか」

「よく知ってます」

「どんな着物だ」

「黒いピカピカしたコートでした」

「草履か下駄か」

「靴です」

「よし、もう沢山だ」

千種十次郎に斯う言われるとお礼の紙幣を引っ掴むように、少年は応接間を飛出しました。

「矢張り浪子夫人だ」

と足の勇。

「いや、そう簡単には行かんぞ」

「どうして? あの顔や、様子は、浪子夫人そっくりじゃないか、浪子夫人が離屋へ忍び込んで、うたた寝をして居る夫の口へ青酸を滴し込んで、鍵をかけて飛出して、渋谷の駅前で、夕刊売の少年に、此社へ電話をかけさしたとしたらどうだ」

足の勇は日頃にも無い雄弁に捲し立てます。

「いや、浪子夫人は、夫を殺した後で、何んの為に電話をかける必要があるんだ、しかも、一二度しか逢った事の無い君にだよ」

「――――」

「それに、十四や十五の少年が、あんなにはっきり女の顔を記憶して居るのもおかしいし、十一時過ぎの往来で逢った人間の、着て居たコートや、履物まで記憶して居るのは少し変じゃないかネ、何より、今時、昔の女学生じゃあるまいし、和服