Classici giapponesi con furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Leggi 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 161.305 caratteri · 321 schermate
おそろしい速力を持った巨大な軍艦が、その主砲を打っ放して、その轟音と共に、この哀れな万寿丸の舳を目がけて、突進して来たのであった。それは全くとっさの場合であった。
「ハールポール」と船長は、舵機をあやつっている小倉の前へ来て、飛び上がりざま叫んだ。その声は絶望的にブリッジに響きわたった。
機関室への信号機は「フルスピードゴースターン」全速後退を命令して、チンチンチンチンとけたたましく鳴りわたった。
船長初め、小倉らブリッジにあるすべては「打っつけた」と覚悟していた。
波田に西沢は、何だかまるでわけがわからなかった。
これらは息をつく間もない瞬間に一切が行なわれた。そして、本船はグッと回った。波田も西沢も、船長までもが、そのなれにかかわらずよろめいたほど急速に。そして、今にも衝突しそうに思えた、山のような怪物、(それは軍艦だと波田と西沢は思っていた)は全速力をもって、まるで風のように左舷の方へ消え去った。と、その怪物からは続けざまにドンドンドンと轟然たる砲声が放たれた。
哀れなる小犬のような、わが万寿丸は、今は立ちすくんでしまった。いわば、腰を抜かしたのである。