Classici giapponesi con furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Leggi 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 161.305 caratteri · 321 schermate
三〇
ボイラーが、艀へ積み込まれるとすぐに、わが万寿丸は、高架桟橋へ横付けにするために、錨を巻き始めた。
錨を巻き始めると、おもての室の中は、一切合財がガラガラにゆるんでしまいはせぬかと、気がもめるほど震動した。とどろきわたった。ボーイ長は、その弱った神経がこわれるのを、心配するような格好で、耳に栓をするのだった。
水夫室のまん中にある蓋をとると、その下は錨鎖のはいる箱(チエンロッカー)になっていた。それはすっかりの鎖が出切った時、そこの広さは、横六尺、縦六尺五寸、高さ十尺ぐらいであった。そして、それが二つ並んでついていた。上で巻き上げる鎖は、デッキの穴を通って、この箱の中へ送り込まれるのであった。それをこの箱の中では、波田が、一々、鎖を順序よく並べなければならなかった。そうしないと、鎖が穴の下へたまってつかえてしまうのである。
波田は、この箱のドブドブの中へ、カンテラをさげてはいるのであった。そして、金棒の先の鉤になったのを、落ちて来る鎖に引っかけては、順序よく並べねばならなかった。それは急がねばならぬし、力のいることだし、狭いところだし、ぬれていてすべることだし、暗くはあるし、油煙は立つし、息苦しくはあるし、そして、また、時々鎖から鉤がはずれると、肘で後ろの壁を力一杯つき飛ばすのであったし