Classici giapponesi con furigana
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かいじんにいのる
海神に祈る
田中 貢太郎
Leggi 海神に祈る (かいじんにいのる) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.486 caratteri · 26 schermate
それに此の普請は、此の釜礁を砕いてしまえば、すぐにりっぱな港になる。一日でも早くりっぱな港を作ることは、神様はお喜びにこそなれ、お叱りになることはないと思うが、其の方はどう思う」
「へい」
と云ったが、松蔵はそれに応える事ができなかった。総之丞が松蔵のために応えなくてはならぬ。
「それは一木殿のお詞のとおりでございます。神様は人の為こそ思え、人を苦しめるものではございませんから、人のために作っておる港の、邪魔をするはずはありません」
権兵衛は頷いた。
「そうとも、其のとおりじゃ」松蔵を見て、「松蔵、判るか」
松蔵にもおぼろげながら其の意は判った。
「判ります」
「それでは、礁を破るに憚る事はないぞ」
「そりゃ、そうでございます」
「それが判ったなら、皆に其の事を云え」
「云いましょう、云います」
「云え、云い聞かせ」
「へい」
松蔵は何かに突き当って困ったような顔をしながら石垣を降りて往ったが、其のうちに彼方此方から松蔵の傍へ人夫たちが来はじめた。人夫の中には鉄鎚を手にした者もあった。権兵衛と総之丞は黙ってそれを見ていた。
松蔵の傍へは五十人ばかりの人夫が集まって来て、それが松蔵を囲んで頭を並べた。