Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かいじんべっそう

海神別荘

泉 鏡花

Leggi 海神別荘 (かいじんべっそう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.689 caratteri · 46 schermate

Aozora Bunko

公子 じゃ、その枝珊瑚を波に返して、約束を戻せば可かった。

美女 いいえ、ですが、もう、海の幸も、枝珊瑚も、金銀に代り、家蔵に代っていたのでございます。

公子 可、その金銀を散らし、施し、棄て、蔵を毀ち、家を焼いて、もとの破蓑一領、網一具の漁民となって、娘の命乞をすれば可かった。

美女 それでも、約束の女を寄越せと、海坊主のような黒い人が、夜ごと夜ごと天井を覗き、屏風を見越し、壁襖に立って、責めわたり、催促をなさいます。今更、家蔵に替えましたッて、とそう思ったのでございます。

公子 貴女の父は、もとの貧民になり下るから娘を許して下さい、と、その海坊主に掛合ってみたのですか。みはしなかろう。そして、貴女を船に送出す時、磯に倒れて悲しもうが、新しい白壁、艶ある甍を、山際の月に照らさして、夥多の奴婢に取巻かせて、近頃呼入れた、若い妾に介抱されていたではないのか。なぜ、それが情愛なんです。

美女 はい。……(恥じて首低る。)

公子 貴女を責るのではない。よしそれが人間の情愛なれば情愛で可い、私とは何の係わりもないから。ちっとも構わん。が、私の愛する、この宮殿にある貴女が、そんな故郷を思うて、歎いては不可ん。