Classici giapponesi con furigana
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しせい
消えた受賞作 直木賞編
富田 常雄
Leggi 消えた受賞作 直木賞編 (しせい) di 富田 常雄 (とみたつねお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.806 caratteri · 36 schermate
であった。彼は勝っても負けても、立ち時を知らず、どこまでも堕ちて行く。見切りの潮時を知らないのだ。彼はしきり無しに負け、その追償の奔走にミチは疲れ、若い二人は転落する二つの石の様に堕ちて行く先が知れなかった。ミチは勇の転落に引きずられ、ぎりぎりの処まで追い詰められて居た。だが、勇は彼女に働きを要求しても、彼女の肉体を他人に提供することは肯じない。ミチも、そんな世界へ行こうとは考えて居なかったが、勇の、若い猛獣の不機嫌さを思わせる、兇暴な荒み方は堪えられず、彼の打擲に唇を噛みしめながらも、金を得る方途を考え続けた。勇はそれまでに、ミチが奔走して来た金については聞こうとしなかった。これは男の狡猾さがさせる業であった。
「明日の賭場が立つまでに五千両都合出来ないか。おい」
「借り尽しちゃったのは知ってるじゃないの、千や二千までなら、どうにもなったさ。今迄は……だけど、仏の顔も日に三度だよ。そうそうは言えるものじゃない」
「おい、お前、今迄、千、二千と持って来たなあ、何処の、どいつの金だ」
「妾の口一つさ」
「じゃあ、二千が五千になったって出ねえ事はないだろう」
「そんな、まとまった金を誰が出してくれるものかね」